Shinichi  Sakamoto                                   坂本伸市

CONCEPT

禅、、あるいは、宇宙



作品にはかけがえのないナニモノかが潜んでいます。制作者を超えたそれは、自分はもとより見る側への問いかけでもあります。形のないもの、経験によっては認識し得ないナニモノかが作品のオーラとへと転化します。作品のコンセプトというのなら、その潜んでいる原点の確認作業であり、その本質からこぼれ落ちる線や形の構成を助ける美的実践です。私は憧れの本質を求め現実のカタチの向こうのフォルムを探し物質を弄ります。限られた人生がいずれ帰っていくであろう原点。それは悠久なる自然であり起源であるピュシス(φύσις)であると考えます。作品の歓びとは虚無感から解放、カタルシスへの転化です。その時、作品は超越論的世界への入口として完成し象徴となるのです。

 

 

美術評論家 多摩美術大学教授 中村隆夫

 

 茫漠としたひろがりを暗示する空間を背景に、閃光のような鋭い光あるいは強烈な色彩が樹木や樹葉に似たフォルムを形成している。作品を見て最初に感じるのは強烈な光や色彩のエネルギーの炸裂である。

 坂本伸市は「ピュシス」という言葉を使用する。簡単に言ってしまえば「自然」の意であるが、人間の主観が関与することなく独立して存在し、時々刻々変化する現象の根底をなす根本原理のことである。それ故、ピュシスとは「自然」だけではなく「宇宙」「本質」をも意味する。

 さらに彼の作品タイトルを見れば北欧の古代神話の「ユグドラシル」(宇宙樹)、仏教用語の「転生」、すべての苦悩や迷いの原因から抜 け出した状態の「緑覚」という言葉を使用している。こうしたことから坂本は宇宙、生命、生々流転とその根本原理をテーマにしていることが分かる。

 坂本の作品は、上述した硬質なフォルムの炸裂と強烈な光・色彩の拡散が宇宙の片隅で生じ、それが変質し別の何かへと変貌する様、あるいは宇宙そのもののエネルギーとその変容をまざまざと感じさせくれる。それは黒の宇宙空間を暗示する背景に鮮やかな色彩がほとばしり、硬質な左右対称性のフォルムが崩れることによって、エネルギーの発散としてのダイナミズムが生じているからである。

 哲学的なテーマを描く画家はややもすると観念的になって図式的なイメージに陥りやすい。しかし坂本は宇宙の囁きに耳を傾け、そこから根本原理を感じ取ろうとする謙虚な姿勢を保っている。それだからこそ彼の作品には強さと感動が備わっているのである。

PROFILE

坂本 伸市  出身地:東京 生年:1963

1985:日本大学芸術学部卒業


HISTORY

1986~2015: 国展出品(国立新美術館)

2000:第14回多摩秀作美術展 準大賞、'01:佳作賞(青梅市立美術館)

2003,'04,'05,'07,'09,'11,'14:CAF.N展(埼玉近代美術館)

2010:国画会準会員優作賞(国展)

個展:1990,'98,2001,'04,'08,'11,'15(櫟画廊)

 

所属団体/国画会会員、日本美術家連盟会員

 


2019      ART EXPO 2019 SYSTEMA GALLERY OSAKA

 

 

2018  SYSTEMA BIENNALE 2018

     museo miquelagelog、italy

2018      ART RIGA,riga

     

 

2017  ART MARKET BUDAPEST

2017  AFFORDABLE ART FAIR AMSTERDAM

 

2016  ART ASIA FUKUOKA

2016  SYSTEMA BIENNALE 2016

    (MONTESE MUSEUM ITALY)

2016  ART EXPO OSAKA